新作ミュージカル『シークレットステージ』がついに開幕!舞台写真&コメント公開
PR TIMESの報道によると、市村正親さん主演、渡辺えりさん脚本・演出による完全書き下ろしの新作ミュージカル『シークレットステージ』が、東京建物 ぴあ シアターで開幕しました。主演と脚本・演出という演劇界の重鎮どうしのタッグが生み出すのは、舞台裏の極限状態を映し出すバックステージドラマ。小劇場演劇を追い続ける私たちにとっても、これは見逃せない挑戦的な公演ですよね。…

5人で50役以上——これは「役者」の本質を問う作品
この作品のいちばん目を引くポイントは、主要キャスト5名で50役以上を演じ分けるという設定ですよね。「え、5人!?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。でも、ここにこそ、この公演の真意が隠されている気がします。
一つの役を深く掘り下げるのではなく、何十もの人物を瞬時に切り替え続ける——それは、声や姿を使い分ける技術だけではありません。役者の「観察力」と「引き出し」の数を、否が応でも試される構造ですよね。普段、小劇場では一つの役をじっくり育てる機会も多いですが、こうした大作では「切り替えの呼吸」をどう保つかが鍵になります。渡辺えりさんの脚本・演出だからこそ、そのへんをどう立ち回らせるのか、注目したいところです。
そして、この「5人で50役以上」という構造は、実は観る側にもメッセージを送っています。観客は「この人はさっきまで別の役を演じていた」という記憶を抱えたまま、次の人物を受け取る——つまり、役者の「変身」を楽しみながら、同時にその「芯」がどこにあるのかを見つめ直す時間になるんですよね。観る私たちが普段あまり意識しない「役者の芯」が、この作品では否応なく見える化される。それが、この公演のすごいところだと感じます。
「バックステージドラマ」が映す、舞台人のリアル
作品のもう一つの核は、「バックステージドラマ」というテーマ。舞台上ではなく、舞台裏の極限状態を描くというチョイスが、すでにこの作品の解像度の高さを示しています。
私たちはつい、客席から見える「完成された演技」にばかり目を奪われがちですよね。でも、本当は楽屋での一呼吸、袖での短いアイコンタクト、本番直前の静かな緊張——そういうところにこそ、役者の真実が宿ると思うんです。市村正親さんが主演としてこの物語を体で引っ張るわけですから、その背中から私たちが受け取るものは多いはずです。
特に、私のような演技指導の現場にいると、舞台上だけでなく「舞台裏でどう呼吸を整えているか」ということが、演技そのものの深さに直結すると感じています。今回の作品が「バックステージ」をあえて描くと決めたのは、そこにこそ演劇の本質がある——という、作り手からの静かな宣言でもあるのかもしれません。観終わったら、ぜひ一度楽屋に思いを馳せてみてくださいね。
東京公演は9月24日まで——観る側、演じる側、それぞれの宿題
東京公演は9月24日まで行われると報じられています。観劇を予定されている方はもちろん、「いつか自分もこういう作品に関わりたい」と考えている若い役者さんにも、これは大きな刺激になるはずです。
ひとつだけ、今日からの小さな一歩を提案させてくださいね。あなたが普段やっている役の「となり」を想像してみてください。主役の親友、主役の敵、主役が見えないところで動く裏方さん——たった5秒で切り替える必要はなくても、誰か別の人間を想像するだけで、自分の役の輪郭がふっとクリアになることがあります。今回の『シークレットステージ』は、その「となり」を何十通りも生きる物語。観劇の前でも後でも、ぜひ一度、自分の役の「となり」を探る時間を取ってみてください。
そして、劇場に足を運びながら、一つだけ意識してみてほしいことがあります。それは「役者が一瞬で切り替える瞬間」に目をやること。照明が変わるときの呼吸、衣装の裾の揺れ、視線の動き——そういう細部にこそ、5人で50役を成り立たせる技術がつまっています。観る私たちがそういう小さな瞬間に気づけるかどうかで、この作品の受け取り方はぐっと深くなるはずです。一緒に、舞台の裏側まで楽しみましょう。
関連記事: 小劇場オーディションの選び方:経験や目的に合わせた劇団の見極め基準 、 舞台オーディション応募書類の見直し前後で何が変わる?審査員の目に留まる記載の工夫.